これは、逆のパターンもあります。まだ自覚症状の無い異常を早期発見してもらう人間ドックの お話です。
MRI検査をすると、腰椎椎間板ヘルニア等が見つかる場合があります。
しかし、神経根が ガッツリ圧迫されていても、腰痛症状の無い方が結構 居るそうです。
ご本人に画像を見せながら説明すると、腰を抜かして立てなくなる。
足腰に力が入らないので松葉杖を貸し出しへ・・・
人間ドック あるある話です。
以上を整理すると、神経圧迫を外科手術で的確に取り除いても、痛み・痺れの残る方が結構 居る。
逆に、明らかな神経圧迫が起きているにも関わらず、痛み・痺れを感じていない方も結構 居るという事です。
こうなってくると、腰痛の85パーセントは運動器に異常は無し、残りの15パーセントに関しても、本当に神経圧迫が原因かどうか怪しくなります。
その為、現代医学では、痛みが長期化している『慢性疼痛(まんせいとうつう)』は、
「脳が まだ痛いと思い込む”勘違い”が原因ではないか」
と指摘される様になりました。
(専門的には、精神ストレスにより脳血流量が減少することで起きる『側坐核:そくざかく』の機能低下)
けど、外科手術で腰痛の改善が見られなかった方に
「手術は成功しているので、脳の思い込みですね。脳神経内科を受診して下さい。」
とか
「後は、心の問題なので精神科に行ってください」
などと言ったら大変でしょうね。一般の方が思う『脳の問題』、『心の病気』のイメージの悪さよ・・・
ただでさえ 手術で痛みが取れずに 不信感を抱いているところに、執刀医から こんなことを言われたら、温厚な人ですら モンスター・クレーマーになりかねません。
そこで、麻酔科医による『トリガーポイント注射療法』が注目されています。
押すと激しく響く”引き金”となっている『圧痛点』を『トリガー・ポイント』と呼び、そこに局所麻酔薬 または筋肉の過緊張を緩める程度なら生理食塩水を注射します。
このトリガーポイント注射療法は、骨・関節の変形を直接治療するものではありませんが、繰り返し注射することで、
痛みや硬結(こうけつ:いわゆる コリ)を除去する効果が期待できます。
脳が痛くない状態を受け入れ、
「あ もう治っているんだ」
と納得してくれると、慢性疼痛や筋緊張が改善するんです。