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千葉県八千代市緑が丘の整骨院・整体院『城ノ戸鍼灸接骨院』は、八千代緑が丘駅前なので船橋日大前・八千代中央からの通院治療にも便利です。

太極拳(たいきょくけん)について

脱線ついでの脱線なのですが・・・

『15、気功の実践者達』
にて言及をした パンチの『発勁』説明で、『沈墜勁:ちんついけい』と『十字勁:じゅうじけい』はイメージが湧くと思うのですが、『撞靠勁:とうこうけい』と『纏絲勁:てんしけい』は、現代日本で馴染みの薄い漢字が使われているので補足です。
「後足で地面を蹴る反発」と説明した『撞靠勁:とうこうけい』は、相手から遠い側の足で踏ん張り、寄りかかる・もたれる(靠)ように 鐘を突き鳴らす(撞)威力。

「後脚・体幹・突腕を連動させた捻じり込み」と説明した『纏絲勁:てんしけい』は、長い糸(絲)をまとう・まつわりつく(纏)ような螺旋の威力。
「寄りかかる・もたれるように」と「長い糸をまとう・まつわりつくような」というイメージは、どちらも『発勁』(威力を発する)の際、つい肩に力が入るのを防ぐ知恵ですね。

太極拳(たいきょくけん)が ゆっくりと身体を動かす練習をするのも同様です。
ゆっくりと動くと肩に力が入りませんし、下半身や体幹の大きな筋肉で生む威力に、肩でブレーキを掛けず 手まで伝える感覚を養えます。
また、相手の攻撃威力を受け流して崩す『化勁:かけい』の感覚が身に付きます。

素早く動き合う『散手』(いわゆる自由組手)の稽古だけだと、相手の打撃を叩き落とす『パーリング』や、ガードを固めて受け止める『ブロッキング』は身に付きますが、柔らかく受け流して、つんのめらせる『崩し』は習得しにくいです。

そこで 仲間内にて、手首など身体のどこかが触れた状態で、相手が押してくる ”力”の強さや方向を皮膚感覚で感じ取る『聴勁:ちょうけい』を効かせた上で、交互に胸や肩などを押し、それを自分が転倒しないギリギリまで引き寄せてから、柔らかく受け流し合う『推手』や、
ゆっくりと しかし受け流さなければ押し倒される攻撃(突き・蹴り・体当たり等)を転倒せずに踏ん張れるギリギリまで引き寄せてから、柔らかく受け流し、ゆっくりと反撃する攻防を行なう『対打』といった太極拳の対人トレーニングが有効になります。

これら やって良いことを絞った限定スパーリングである『推手』の自由度と、いわゆる約束組手である『対打』の速度を段階的に上げることで、柔らかく受け流して崩す『化勁』を実戦でも使える様にしようと考えた先人たち(中国河南省温県陳家溝の陳氏一族)が、武術を従来より柔らかく稽古しだしたのが『太極拳(たいきょくけん)』の始まりです。
(全ての太極拳の源流とされる『陳家太極拳』)

つまり 太極拳も実際に闘う際は素早く動きますし、私は『化勁』で相手の体勢が崩れれば、瞬発的な激しい『発勁』で突き飛ばしたり、なぎ倒したりしましたよ。
インチキ武術でないならば、【当たり前】ですね。

太極拳は、遠い間合いから大きく伸びやかな突き・蹴りを繰り出す『長拳』に分類される門派と比べ、初心者に動作の意味が判らりづらい拳法だと思います。

それは『化勁』を重視した結果、受け流しながら距離をつめる闘い方が発達した為でしょう。
相手と距離のある位置からの『打撃技』として解釈しようとすると、不自然な動作が多くて戸惑います。

私自身の経験ですと、陳家太極拳を習い始めて
・「中間距離で右の手刀を振り下ろす動作」
だと思った『懶扎衣』を
・「密着する距離で、背・右肩・右肘で薙ぎ倒す動作」
として教わり、実際に掛けてもらった時に、

「凄い! こっちの方が武術として説得力がある!
手は フォロースルーだったのか!!!」

と、感激しましたw
各動作の意味を理解せずに套路(いわゆる型)の練習を行うのは体操にしかならないと思ったので、入門当初の私は先生に動作の意味を質問しまくったところ、

「多分、勘違いしてる。用法は100通りあるから」

と 返って来ました。
実践を伴わない『頭でっかち』では 武術オタクにしかならないでしょうから、解からないなりに素直に通い続けた結果、3年ほどで

「最近 解かり始めちゃったね」

と 言われ、指導の手伝いをさせて貰える(させられる?)様になりました。

自由攻防(ムエタイ・ルール)をしていると、ガードを固めて受け止める ブロッキングで凌ぐ事も有るので、常に100点満点の『化勁』が出来るわけではありません。
しかし 太極拳を始めて数年が経つと、咄嗟に出た受け流しで相手の体勢が崩れる事が増えて来ました。

套路に詰め込まれている動作は『技そのもの』というよりも、その門派の『身体の使い方』だったのです。
相手との間合いや攻防の展開によって、結果(決まり方)は変化します。
これが 先生の言う「用法は100通り」の意味だったのでしょう。

具体例として用法を指導されたとしても、その用法が全てではないという事に関して、私が個人的に衝撃を受けたのは、『分脚』の応用法についてでした。

『分脚』は手足を脱力し、遠心力を効かせて『真っ直ぐに蹴り上げる』動作です。
最も素直な解釈は、股間への『金的蹴り』だと思います。

しかし 顔面パンチを合わされない様に、上半身を傾けつつ軸脚を より強く返して蹴ると、遠心力の軌道が縦から横へ自然と変化して、脇腹を鞭の様に蹴る ムエタイの『テッサーイ&テックワー』( ≒ キックボクシングの左右ミドルキック)そっくりになります。
パンチを打つ際は腕を伸ばすので、顔面パンチへの カウンターとして蹴ることが出来れば、ガラ空きの脇腹に入るので特に有効です。

遠心力を効かす軌道の角度を調整すれば、ハイキックにも ローキックにもなりますし、攻防の流れで距離が詰まれば、途中まで同じ動きから テンカオ(ムエタイ式の刺すヒザ蹴り)的に変化する事も出来ます。
ムエタイからの借り物ではなく、あくまで太極拳に元々ある『分脚』の応用法として、ムエタイっぽい蹴り方が いくつも導き出せるんですね。

太極拳は至近距離にて、
『アゴや胸を強打する突き飛ばし』・『肘打ちや体当たりを伴う薙ぎ倒し』・『相手の腕を封じたり 体勢を崩すための立ち関節』・『組みヒザ蹴りからの投げ捨て』
を多用し、距離が詰まるまでは柔らかく脱力した構えから、
『伸びやかな突き』・『鞭の様な蹴り』を繰り出します。

つまり 対武器・対複数も想定した『立技』で、

【つっぱり・かちあげ・ぶちかまし・かんぬき等が有りの『組技格闘』と、至近距離での首相撲を重視した『打撃格闘』を足した様な闘い方】

をするんです。

ちなみに 日本相撲は叩きつけられたら危険な アスファルトや コンクリートや 金属などの人工物と段差に溢れる市街における「路上最強」、ムエタイは環境利用闘法が ほぼ使えない リング上(四隅のコーナーに追い込み 退路を封じる程度)における「立技最強」の格闘技と評されることがあります。

そう呼ばれるからこそ、これらに対する反論も存在しますし、ここで『最強論』を論じる気はありません。
ただ 少なくとも、日本相撲とムエタイを足した様な拳法が『弱い』とは私には、どうしても思えないです。

一般の方が、太極拳に対して

・「 ”気” で闘う神秘的な武術」
・「実際に闘えるのか怪しい代物」
・「現状は中高年向きの、ただの体操」

など 良くも悪くも『摩訶不思議で理解不能な拳法』というイメージを持たれるのは、太極拳スタイルで闘えないのに太極拳を指導する『指導できない指導者』が多いからでしょうな。

なお 日本相撲は廻し(まわし)を掴んで掛ける技が多いのに対し、太極拳は衣類の掴み崩しを多用しないので、組み方や その防ぎ方は日本相撲よりも後述する グレコローマン・レスリングの立技に近いと思います。

どちらにせよ 『日本相撲』・『ムエタイ』・『レスリング』は、リアルな強さを有する競技であり、神秘系ではないですよね。

実際の『発勁』は「筋力の ”スムーズな” 伝導」ですが、意識の上では「下っ腹(丹田:たんでん)と手足を繋ぐ ”気” の伝達」を イメージすると、技術の習得が早まります。
これが、楊家太極拳 10の心得『太極拳説十要』の一部である

・『沈肩墜肘』
肩をいからせず、力を緩めて肘も落とす
・『用意不用力』
”気” のイメージを用いて、腕力を用いない
・『相連不断』
”気” を伝達する感覚が途切れない様に、ゆっくり動き続ける

の本当の意味だと思います。
これを

「腕力を超えた根源的なパワー、内なる ”気” のエネルギーで 大きな相手を飛ばす」

などと 表現すると、誇大表現となります。
自分より大きく体重のある相手は、『化勁』(攻撃威力を受け流して崩す)に成功した時でないと、ふっ飛びません。
というよりも、『化勁』が完璧に はまると、『発勁』に繋げなくても大男が倒れる事もあります。

日本相撲における『引き落とし』・『はたき込み』等の決まり手がそうです。
ここまでくると、相手の力を利用する『合気』との境が曖昧になりますが、別に「 ”気” の神秘」などではないですよね。

ちなみに各派の太極拳で ほぼ共通の第一動作である『起勢』は、上記した日本相撲の『引き落とし』または類似技の『素首落とし』そのままです。
足を引いて、おおい被さる様に潰せば、相手のタックルに対するレスリングの基本ディフェンスである『がぶり』になります。

アマレス競技(フリースタイル)の場合、『がぶり』で潰した状態から相手の片腕を抱え込み、一気に引き寄せながら背後に回ったり、逆に『がぶり』で四つん這いにされた状態から片腕を相手の身体の下に深く差し込み、腕力ではなく身体全体で起き上がる要領で引っ繰り返したりといった攻防が展開されます。
アマチュア・レスリングは世界中の競技者が切磋琢磨しているので、理に適った身体操作法が確立されていますね。

この合理的な攻防を、マットに膝(ひざ)をついた状態ではなく、互いに立った状態で行なうと、太極拳の四正推手や散手対打に そっくりです。

先ほど、アマレス競技におけるタックルからの攻防について『(フリースタイル)』と記載しました。
競技人口が多い男子の場合、アマチュア・レスリングは、相手の脚を抱え込む等の下半身攻撃を行って良い『フリースタイル』と、認めない『グレコローマンスタイル』の2種目がある為です。
グレコとは ギリシアの旧名で、ローマンとは「ローマの」なので、グレコローマンとは、『古代ギリシャ&ローマ式』という意味ですね。

『柔らかいマット上の素手タイマン』としては、やって良いことが多い フリースタイルの方が闘いやすいと思います。
しかし 現実に即した実戦である『固い地面上の対武器・対複数』を想定した場合の実用性は いかがなものか・・・

こういった考えのもと、武術性を重視した原点復帰の競技として19世紀に ”新しく” 生まれたのが『グレコローマンスタイル』という訳です。

柔拳に進化した比較的 ”新しい” 伝統拳である太極拳が、片足タックルや 両足タックルからの寝業攻防が多い『フリースタイル』よりも、豪快な投げを叩きつけるまでの立技攻防が多い『グレコローマンスタイル』に、より似ているのは【武術】ですから必然ですね。

ちなみに 国際スポーツであるアマレス競技は、フリースタイルと グレコローマンスタイルを問わず『打撃なし』ですが、太極拳の散手対打を学んでから、前述したレスリングの
「相手の片腕を抱え込み、一気に引き寄せながら背後に回る」
という動作を見直すと、
「重いパンチ またはナイフ等の武器攻撃を喰らわない様に相手の利き腕を最優先で封じ、次に空いている側のパンチや蹴り等を回避する為に安全地帯へ移動する」
という『護身的技法』とも解釈できて面白いです。

一方 太極拳スタイルで闘えない、武術的意味も説明できない『指導できない指導者』ほど、抽象的な「 ”気” の作用」を強調している様です。

ニセモノ(インチキ武術家・エセ気功師)ほど、自身を大きく見せようと大げさな事を言います。
これは 科学的根拠の薄い健康法・民間療法の提唱者や、スピリチュアル系のカリスマも同じです。

これらの主張内容を確認せず、ひとまとめに全否定する気はありませんが、少なくとも アピールが大げさで怪しい人には 近づかない方が利口かと私は思います。

 


16、外気功と内気功